記憶の記録-2-
-2-
なにもノスタルジーに浸っているのではなくて、いま、時代検証のなかで自分史を作ってみたいと思っているところです。ここでは二十歳前後、1965年あたりから1974年あたりまでのおよそ10年間が、ぼくの興味の対象です。というのも、この年代は、ぼくがやろうとしていたことは、文学研究であり、小説を書くことであり、文学批評をやりたいと思っていた年代でした。これまで成熟しなかったこの10年間を、文章化してこなかたのは、つまり、できなかったからです。どうしてできなかったのかといえば、成果がなかったからです。むしろ挫折していく自分を、そこに見なければいけないような酷な気持ちがあったと思うんです。でも、それからもう半世紀が経とうとしていて、すべての情報が公開される時期に来ているからと思えているのです。それと、やっぱり、自分史、自分の内面史、これらもきちっと文学という範疇でやっておかなければいけないのかと、思っているところです。今日は、三島由紀夫のイメージを掲げてみました。